シオもソルトも同じ塩?
日本でも、ウエスタンロックソルトのように、商品名に使われている英語のソルト(Salt)が、塩の名称として世界に知られています。おそらく、外国でシオと言っても、分かってもらえないでしょう。 古くから存在するものは、国によってさまざまな名称を持っていることがほとんどです。
では、地球上どこにでもある塩は、世界の国々で何と呼ばれているのでしょうか?
日本の塩は海の塩
日本では縄文時代の終わりごろから作られ始めたと言われる「塩」ですが、語源は塩の原料となる海水を意味する潮(うしお)だという説が有力です。日本最古の歴史書「古事記」には「塩土老翁(シオツチノオジ)」という海の神様が登場します。シオという言葉がいつから使われていたのか定かではありませんが、中国から漢字が入ってきたときには、すでに呼ばれていたようです。
漢字の「塩」は中国の漢字を簡略化した形で、正確な発音は少し違いますが音読のエンが中国での塩の名称です。
お隣の国、韓国ではソグムと呼ばれています。残念ながら日本との類似点はあまり感じられませんね。
ソルトは由緒あるローマの血筋
世界で幅をきかせているソルトですが、単に英語だからというだけではありません。そもそも「ソルト」は古代ローマのラテン語「サール(sal)」から由来しています。
サールはもちろん「塩」を意味する言葉で、ローマでは兵士の給料が塩で支払われたこともあったことから、サラリーの語源になっていることで知られていますが、それ以外にも、「塩をかける」を意味するサラダや、兵士のソルジャー(solrier)の語源にもなっています。
同じユーラシア大陸に位置するヨーロッパ諸国は、ほとんどがこのサールから派生した言葉ばかりです。
エジプトやイラクなどアラブ諸国のアラビア語は使用範囲が広いため、国・地域によって違ってきますが、標準アラビア語では塩をミルフ(milhun)と言います。
同じイスラム教圏でも、イランのペルシア語ではナマックと、近隣国で随分違っています。

ガラムとガルムとガラムマサラは似て非なるもの?
比較的日本から近く、ビーチリゾートととして人気のあるマレーシアやインドネシアではどうでしょう?言葉が似ている両国は共に塩をガラム(garam)と呼んでいますが、香辛料のガラムマサラはインドのヒンディー語で、ガラムは「熱い」マサラは「混ぜる」という意味です。
そのヒンディー語では塩をナマクと呼んでいます。ペルシア語と似てますね。
紀元前のギリシャやローマの書物にガルムという塩を用いたソースに関する記述があるのですが、これは、タイのナンプラーのような小魚を塩に漬け込んで作る魚醤の一種で、最近では復興の動きがあり、今またイタリア料理に使われるようになりました。
日本以外でも「シオ」が見つかった!
すでに紹介したインドネシアですが、日本のような島国である上たくさんの種族に分かれているため、地域によって話す言葉が違います。なんと!インドネシアの島のひとつ、スラウェシ島のある地域では、塩のことをシオ(sio)と呼んでいるのです。
スラウェシ島は300年もの長い間オランダ領として統治されていましたが、第二次大戦のおり、日本軍の基地を置いたことから、日本語の影響を受けている言葉がいくつかあります。
インドネシアでは「ジュプン(Jepang)」という日本のことも、スラウェシでは「ニッポン(Nippon)」と呼んでいます。
それでは、シオと呼ばれるようになったのは、日本軍が来たときからなのでしょうか?
そうとは限りません。「海彦山彦」などの日本で有名な神話と非常に良く似た説話が、スラウェシ島にも残されていて、研究者の中にはインドネシア人と日本人の人種的つながりをとなえる人もいます。
私たち日本人から見ると、同じアジア地域でもインドネシア人は顔つきが違うと感じますが、スラウェシ島を統治したオランダ人から見ると、とても良く似ているそうで、日本人がオランダに行くと中国人の次にインドネシア人に間違えられてしまうほどです。

何千年も前にインドネシアから日本へ渡ってきた古代人がいたのか、それとも、2つの島国は陸続きだったのか・・・、いろいろな想像がふくらみます。
塩というのは、なかなか神秘的な存在なんですね。







